「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
今年の自分を漢字1字で表すと
寺田 早輪子
(2011/12/02)
これほどまでに「故郷」を思った年はありませんでした。
『郷』。震災があった私の今年を一文字で表現するなら、「故郷」の『郷』です。
3月の震災ではここ宮城も、そして、私の故郷・福島県いわき市の人々も、多くの方々が、故郷を大津波、大地震で傷つけられました。
育った家が…、街が…、学んだ学校が…、思い出の場所が傷つけられた現実を思うたび、胸が痛みます。
子供の頃は、故郷の空気を吸って、走り回って、近くの港にあがった魚介類を頂くことを、特別なことだと思うことはありませんでした。
10年以上前に父が亡くなり、一時、一人暮らしになった母を心配していた私に、母はかつてこんな話をしたことがあります。
「ここは、早輪子たちの故郷だから、お母さんがここを離れちゃったら故郷がなくなっちゃうでしょ。一人になっても住み続けるから。大丈夫。」
母がかつて何気なく話した「故郷があることの幸せ」。震災があった今年、深く深く私の胸に響いています。
「故郷のために、自分が出来ることは何か?」
故郷を傷つけられた多くの人が抱いているこの思い。
生涯、私は自問自答し、自己満足でない形で行動したいと思います。
続いては…、今年、仙台放送アナウンサーに仲間入りした稲垣アナウンサーです。