「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

ともに(2)
寺田 早輪子
(2012/03/08)


「寺田早輪子さんへ また会えてうれしかったです。」

昨年末、私の元に、かわいらしいお手紙が届きました。
これは、その中の一文です。

そのお手紙は、震災直後に、私が女川町で取材し、再度、昨年末に会いに行った小学生の女の子からのお手紙でした。

彼女は、大津波が街を襲った時、高台の学校にいて無事でしたが、それからしばらく、避難所となった学校での生活を余儀なくされました。

津波で大好きなおばあちゃんを亡くした彼女。
それでも、震災直後の取材で、力強いメッセージをこめた作文を私に読んで聞かせてくれました。
「今は深い、深い悲しみでいっぱいです。でも、校庭には無事だった樹齢100年のヒマラヤ杉があります。私もヒマラヤ杉のように、堂々とした学校を取り戻していきたいです。」

津波で破壊された街を、毎日見ていた彼女。そんな彼女から発せられたメッセージ。
大人の私の方が「しっかりしなければ!」と思わされた出会いでした。

去年12月に、再度、彼女と会った時には、何だか照れた様子で、はにかんだ顔が本当にかわいらしかった。

そんな彼女から届いたお手紙。
くわしい内容は二人の秘密ですが(^^)…、うれしい言葉がいっぱいありました。

そして…、
「またいつか会いたいです。」
そう、締めくくられていました。

未曾有の被害、混乱の中、お話を聞かせてもらっただけでもありがたいことなのに、「また会いたい」と言ってもらえたことは、取材者として、一人の人間として、とてもありがたいことです。

彼女はこの春、中学生になります。そして、私はこの春、お母さんに…。
震災で傷ついた街で、初めて取材させてもらったあの日、偶然に出会った二人は、ともに、「一歩前に進む春」を迎えます。

どんな中学生になるのかな…?楽しみです!
私の方こそ、「また、会いたいです。」

「アナログ」。続いては、金澤アナウンサーです!






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