「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

真夏の夜の夢
寺田 早輪子
(2013/08/13)


お盆に決まってみる夢があります。

「あ~!間違いだったか!やっぱりそうだと思ったんだよな~!」
「良かったね、お父さん!また大きいエビフライ食べに行けるね!」

父は、医師に「病気は誤診だった」と告げられ、満面の笑み。
それを聞いた私たち家族は、ほっとして、父の好物だった近所のとんかつ屋のジャンボ海老フライを食べに行こうと誘う…という夢です。

とんかつ屋へは父の運転する車で向かいます。
「お父さん、運転もできるようになったんだねー!」
「ずっと運転してなかったけど、…できるもんだなー!」

でも、とんかつ屋にはたどり着けずに、いつも目覚めてしまいます。

13年前に、父は病気で亡くなりました。
命日が8月と言うこともあり、お盆前後は特に、「もし、今、父が生きていたら…」と考えてしまいます。

私はその日、仕事で父の臨終に立ち会えませんでした。
そんな心残りからか、未だにどこかで父の死を受け入れられない私がいるのかも知れません。

もっとこうしていたら…、ああしていたら…、父はもっと生きられたのでは…と。

でも、このやるせない思いはずっとこれから先も続いていくのだろうと、納得している私もいます。
父を失ったことでポカっと空いた心の空洞は埋まらないし、無理やり何かで埋まるものでもない。

だから、夢の中で、父とジャンボ海老フライを食べに行っているのかも知れません。

今年のお盆も、きっと、ジャンボ海老フライを食べに行き、そして、お店にたどりつけないんだろうな~、と思います。
でも、食べられなくてもいいから、また父と夢の中でいっぱいおしゃべりをしようと思います。

☆写真は…、久しぶりに結婚式の司会をさせていただきました!新郎新婦、末永くお幸せに!

アナ・ログ、次回は…、柳沢アナウンサーです!!


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