「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
遠足の思い出
(2009/05/12)
保育園から高校まで、色んなところに遠足へ行きました。中でも最も珍しい遠足の思い出といったら、間違いなくイラク・バクダッドに住んでいた時の遠足です。思い出といっても非常にあやふやですが、覚えているのはどこかの広場で、その中心に不思議な塔がありました。
父も個人的に行った事があるらしく、写真はその時のものです。その形状は、まさにソフトクリーム。蟻んこがソフトクリームの周りを、てっぺん目指してグルグル登っていく。そんなアニメのような塔がイラクにありました。
見るからに奇妙なこの塔の名前は通称『サマーラの塔』。サマーラはバグダッド北部の都市で、現在の正確な数字は分かりませんが人口は100万人以上です。サマーラはイスラム帝国の時代に栄え、実はこの塔はその時代の9世紀頃に建てられたということです。高さは約50m。遺跡の周囲を伝って幅約1.5mの通路が螺旋状に登っていき、登りつめた先の頂上部分は円形状になっていて、直径はわずか2~3メートルほど。
なんとこの遺跡、今でも誰でも登ることが出来きるのです。そしてさらに驚くべきは、通路および頂上には柵や手すりが全くありません!人とすれ違うだけでも鳥肌が立ちますよね。子供にとっては少し風が吹いただけで危険です。恐らく私達は塔には登った記憶はありませんが、父は登ったようです。
遺跡ということで、安全のための対策は一切講じられずそのままの形で姿を残しているのでしょう。その後、戦争の惨禍が襲ったイラクにもまだこの塔はあるのでしょうか?
さて続いては、浅見さんの遠足です。どんな思い出がありますか?