「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
暑い夏を乗りきるために…
(2010/09/01)
小さい頃にインドネシアとイラクに住んでいたことがるので、私はもともと暑さには強いと思います。
イラクは40℃を越えたりしますが、意外と暑さには苦労せず、毎日遊んでいました。
そんなわけで、暑い時にも暑さを気にせず普段通りの行動をして夏を過ごしてきました。
逆に暑いからと一息ついた日から、夏バテが来ます。
今年の夏は甲子園の取材に行っている間に過ぎてしまいました。
ミラクルを連発した仙台育英、目標の『日本一』には届きませんでしたが、多くの方々の記憶に残るプレーを見せてくれました。
3回戦の興南高校戦。
前日に仙台育英・佐々木監督が話した『この大会は、興南のための大会』の言葉通り、プレーボール前から甲子園は優勝候補・興南高校を応援するファンやマスコミで埋め尽くされていました。1塁側のアルプス席は満員で、得点を重ねる度に大きな歓声が沸き上がりました。
しかし、3塁側アルプスの仙台育英応援団も、オリジナルのタオルを回しての応援で選手達を後押しします。7回のチャンスでは、選手や生徒など学校関係者がタオルを回して、劣勢のチームに声を枯らして声援を送っていました。その時、バッティングピッチャーとして帯同していたある野球部員が、一般の観客に応援を呼びかけました。すると、それに応えるようにタオルを回しての応援が少しずつ広がっていき、3塁アルプス席を埋め尽くしました。
そして知らず知らずのうちに仙台育英への応援の声が球場中を覆い始めました。
3塁内野席も。そしてレフトスタンドも。1塁内野席も…、さらには興南アルプス席にも応援が広がりました。
最後にはライトスタンドでも、育英のタオルが踊り始め、あの大きな大きな甲子園全体が育英の応援団にかわっていったのです。
結局、満塁から放たれた大飛球はセンターのグラブに収まり、ミラクルを起こすことはできずに、軍配は興南に上がりました。
しかし、佐々木監督は試合後の宿舎で選手達に言いました。『興南相手に観客を味方につけた君達は、甲子園に認められたのだ』
そして野球部員は笑顔でした。『日本一の応援ができた』と。
ベンチ入りできなかった悔しい思いを応援に捧げた野球部の応援団員達。
そういった仲間とともに戦ったナインは、勝利以上に大きな物を得たことでしょう。
次は夏が終わって秋の話題。原さんからの『小さい秋』