「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
卒業
佐藤 拓雄
(2007/03/28)
「○○アナウンサーは、きょうでこの番組を卒業します」
テレビで頻繁に使われるフレーズです。でも、僕は、この「卒業」に大いに違和感ありです。「この番組の担当(出演)は今日までです」「今日でこの番組の担当は終わりです」そんなふうに普通に言えばいいことなのに。あえて言わせていただけば、アナウンサーが番組を代わるのは、内部的には、「担務代え」です。タレントさんの場合だって、引退するわけでもないし、引退だとしても、「卒業」なんて言わなくていいと思います。
なぜそんな持って回った言い方をするのか。
僕は、こうした「オブラート語」が放送で出てくるたびに、テレビ局の人間としてだけでなく、一視聴者としても、恥ずかしくも腹立たしくも思います。物事の本質を、意味なくオブラートでくるんで、「きれいな表現だ」と思い込んでいる自己満足でしかないと思うからです。
テレビには、こうした意味のない「オブラート語」が結構ありますが、多くの人に言葉を伝えるマスメディアで意味のない「オブラート語」を使うのは、やめないといけないと、いつも思っています。
コマーシャルを「お知らせ」というのも、その一つ。
「お知らせのあとは、○○のコーナーです」とかですね。
でも、考えてみてください。視聴者の皆さんに「お知らせ」しているのは、スポンサーなのであって、テレビ局ではないのです。その意味で「番組からのお知らせです」は○。
なぜコマーシャルを「お知らせ」と言うような人がいるのか、はっきりはしませんが、かつて存在した「生コマーシャル」が語源だという説があります。1980年代頃までだと思いますが、ワイドショーなどで、番組中にスタジオから生でコマーシャルをやることがありました。僕も見た記憶がありますが、「○○(企業名)からのお知らせです」と言っていました。これはおかしくないですね。
それがいつの間にか、コマーシャル自体を言う人が増えてしまいました。視聴者の方々にも、違和感がないという人も結構いらっしゃるかもしれませんが、僕は認めたくありません。
次は、早坂アナウンサー。「卒業」とは全く関係ありませんが、デスクが隣です。