「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

ともに
寺田 早輪子
(2011/08/04)


「暑中お見舞い申し上げます。…」
先日、親しい方々へ暑中見舞いのお手紙を書きました。ふと、思いました。あの日、3月11日、まだ雪の降る頃に発生した東日本大震災から、間もなく5カ月。季節は冬、春と巡り、被災地ではもうセミの声が聞かれる季節になったのだな、と。
もう、5カ月。まだ、5カ月。感じ方は様々だと思います。毎日、ニュースに触れている私にとっても、それは同じです。
避難所で暮らす方の声。「もう、5カ月も経つのに、いまだ仮設住宅に入れない。」
東北六魂祭が開かれた仙台市中心部の街の声。「まだ、5カ月しか経っていないのに、仙台は観光客で大変な賑わい。震災前の姿を取り戻した。」
同じ宮城県でも、ここに来て「復興のスピード」に差が出てきたと、強く感じます。

先日、石巻市・門脇小学校の1学期終業式を取材してきました。津波と大規模火災に見舞われた小学校です。
「あの震災の直後は、こんな風に、いつもの年と同じように夏休みが取れるなんて、思っても見ませんでしたね。」
先生は、児童達にこう、話しました。
じっと黙って先生を見つめる児童達。無言のまま、先生の言葉に強く同調していたのだと思います。突然の大地震、大津波、火災で学び舎を奪われ、新学年への期待に胸を躍らせるはずの春休みは、「学校は再開するのか?」そんな不安な思いでいっぱいだったことでしょう。やっと迎えた新学期は、別の学校を間借りしてのスタート。別の街へ転校をせざるを得なかった児童もいました。
小さな子供たちが経験するには、あまりに過酷だったこの5カ月間。
どうか、この夏休みは、いつもの年と同じように楽しい思い出をたくさん作れますように…。子供たちの夏休みが笑顔であふれたものになりますように…。
心から祈っています。

続いては、飯田アナウンサーにバトンタッチです!

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