「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
卒業
金澤 聡
(2007/03/15)
卒業式で一番記憶に残っているのは中学のとき。
雪解けもまだ遠く、日差しにほんの微かに春を感じられるような頃でした。
卒業証書授与式も終わり、別れを惜しみながら閉会の挨拶を聞いていた…その時!
同じクラスで生徒会長のY君が、突然、「ちょっと待ったー」と大きな声。
「このまま終わりにしたくないので、僕たち3年生が『大地讃頌(さんしょう)』を歌います!」
おお~っ!これが映画やドラマでしか見たことがないサプライズかっ!スゴイッ!と驚いていたのも束の間、
ピアノの伴奏が始まり卒業生全員が申し合わせていたかのように歌い始めた。僕も慌てて歌の流れに入っていった。
合唱が終わると、父母や在校生が感動の涙を流しながら大きな拍手をしていた。僕もその表情を見てもらい泣き。
それにしても、こんな突然のサプライズにもかかわらずみんな落ち着いて出だしよく歌えたなぁと感心しきり。
式後、サプライズを決行した生徒会長Y君に、すごい勇気ある行動だった、かっこよかったと労をねぎらった。が…、
「あれっ?金澤聞いてなかったの?きのうの放課後、卒業式の最後で『大地讃頌』歌うから伝えておいてって言ったのに、わり~な」
感動した父母や在校生よりも、実は僕が一番サプライズ!! 生徒会長と最後に交わした言葉「わり~な」が頭を何周も駆け巡った…。前日、誰が僕に伝える役だったのかは未だに不明だが、忘れられない卒業式となりました。
次は、アナウンス部の歌姫!?水上アナウンサーです。一体何に卒業するんでしょうか…。