「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
震災から半年
飯田 菜奈
(2011/09/20)
目の前に広がる光景が現実なのか、はたまた夢なのか…
信じられない… これが現実だなんて信じたくない…
津波から避難している最中、ビルの屋上で私は混乱していました。
仙台港近く、「夢メッセ宮城」にてイベントのMCをしていた時に巨大地震に遭遇。揺れがおさまってからすぐに隣の建物の屋上に避難し、仙台港の様子をうかがっていました。
ついに来た… 津波だ…
そう確信した次の瞬間、駐車場に止めてあった車が次々と流され、電信柱や木々が倒れ、あっという間に私達がいたビルまで津波が到達。だんだん水位が高くなり、目の前を車が流れていきます…。車のクラクションの音が、途絶えることなく鳴り響いています。
津波に囲まれた…。孤立してしまった…。
幸運なことに、私達が避難していた場所までは津波は到達しなかったため、全員無事でした。でも、あの日あの瞬間に見た光景はしっかりと目に焼きついています。今も、ふとした瞬間に思い出します。地震が起きるたびに、そのときの恐怖がよみがえります。
でも、私以上に怖い、つらい、危険な体験をされた方は、たくさんいらっしゃると思います。生活環境が落ち着いたとしても、何年経っても、そのとき心に負った傷は癒えることはないですよね。
ただ、時間は一刻一刻と進んでいます。その記憶を忘れたくても、過去は変えることはできません。私達は、生きている限り、明日へ、未来へ、前へ進んでいくしかありません。
この先、いつまた大きな地震があるかも、どんな自然災害に見舞われるのかもわかりませんが、生きているのは人間や動物だけではなく、日本という島も、地球も、生きているのですよね…。立ち向かっていかなければいけません。
とはいえ、これ以上大きな地震が起きないことを、再び悪夢が現実に起きないことを私は願ってやみません…。
次回はアナウンス部長、柳沢アナウンサーです。