「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
冬が来る前に
佐藤 拓雄
(2011/11/09)
冬が来る前は、秋。
当たり前ですね、すみません。
こんなことを言うのは、秋から冬に向かう自然の話をしたいからです。
先月の「ともに」でも放送しましたが、1ヶ月ほど前、南三陸町志津川で、遡上してきたサケを見つけました。
放送用のカメラでは、しっかり撮影できましたが、私のデジカメでは、うまく写らなかったので、周辺の状況が分かる写真を掲載します。
八幡川という川の下流です。
河口から1キロほど。南三陸町役場があったあたりで、川の両側の建物は、ほとんどが流されてしまったような場所です。写真に写っている白い建物も、残っているのは外側だけで、中はすべて津波の被害を受けています。
周辺の土地にも、川岸にも、川底にも、今もがれきが残っています。
そんな川に、サケが戻ってきていたのです。時期が早いためか、数はそれほど多くありませんでしたが、時折すばやく泳ぎ、元気な様子でした。
先日は、がれきの隙間で大きな実をつけた「ど根性ナス」について書きましたが、同様に、またしても、自然のすごさを見た気がしました。
今回は、それに加えて、自然の大きなサイクルが、津波が来た後でも守られているということに、なんとも複雑な感情がわきました。
間もなく冬。
考えてみれば、あの日の後も、何事もなかったかのように春、夏、秋・・・と季節はめぐっています。
人間の営みと自然の営みのギャップ。でも、人間もまた自然の一部であり・・・
被災地で見つける自然には、いつもいろいろ考えさせられます。
続いては、飯田アナウンサーです。「宮城の冬は今度がやっと3回目、まだ寒さに慣れません」とのことです。