「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

2011年今年を振り返って
金澤 聡
(2011/12/16)


『禍福はあざなえる縄』といいますが、これほどまでに甚大な災禍に悩まされた続けた年はなかったのではないでしょうか。
いまだ不自由な生活をされている方がいらっしゃいます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。

私が訪れた震災直後の避難所では、食料は一日に1度。それも具なしのおにぎりでした。
みなさん文句ひとつ言わず、並んで配給を待っていました。
夜は何日も真っ暗闇でした。すすり泣く人をやさしく励ます方もたくさんいらっしゃいました。

あるお婆ちゃんは、炊き出しで並んでもらってきた自分のお味噌汁を、取材にきた私に「飲みなさい」といって差し出してくれました。もちろん丁重にお断りし、召し上がっていただきました。
惨憺たる状況の中でも他人に気遣いができる優しさに触れ、人間の心根の良心に感動を覚えました。
今年は、枚挙に暇がないほど東北の方の強さを感じた年でした。
ただし、『耐えられる』東北の方の強さに国全体が決して甘えることなく、さらにスピード感を持って復興への歩みを進めてほしいと期待します。

禍福があざなえる縄であるならば、来年は『福』となる年になるのではないでしょうか。
改めて、大切なご家族を亡くされた方に哀悼の誠を捧げるとともに、被災された方に謹んでお見舞い申し上げます。

『ともに』の精神を胸に、復興の一助になれるよう来年も歩んでまいります。


次は、飯田アナウンサーです。


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