「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

2011年今年を振り返って
飯田 菜奈
(2011/12/19)


3月11日の大震災。

突然の激しい揺れに立っていられず、近くにあった柱に必死でつかまりながら、地球自体がおかしくなったのかと思いました。

避難先のビルの屋上で、津波に容赦なく流されていく車、木々。倒れる柱。あらゆる物同士がぶつかって壊れていく様子・・・。それを見たとき、この世の終わりかと思いました。

以前にも書きましたが、私より怖い思い、急死に一生を得るような体験をした方がたくさんいらっしゃる中で、私の体験はたいしたことではないかもしれませんが感じたことをいくつか・・・。

震災後、目の前に広がる崩壊した景色を見て、私たちが今住んでいる世界は、私たち人間が自然界に作ってきたものだということを改めて感じました。それを壊してしまうほど恐ろしい力も持つ、自然界に。

蛇口をひねったら水が出る、スイッチひとつで部屋の中が明るくなる、電話という機械で離れたところにいる人と話ができる・・・。私たちが当たり前のようにしてきたことの一つ一つが、なんてありがたいことなのかと思い知りました。そしてその一つ一つは、人間が作ったもの。誰かが作ってくれたもの。

人間は一人で産まれて一人で死んでいく。結局、何をするのも人間は一人なんだ。という考え方もありますが、一人では生きていけないと痛感しました。

食べ物がなかったらみんなで分け合う。気持ちが弱っている人がいたら寄り添ってあげる。何か自分ができることをして、困っている人の助けになれれば・・・人間は誰しもそういう精神を持っているんですよね。

私自身も、宮城に住む友人や知り合いだけではなく、離れたところに住む家族、友人、先輩、後輩、海外に住む友人、本当に多くの人に心配してもらいました。
みんなに支えられて、なんとか気持ちを強く持つことができたからこそ、今の自分がいると思います。

これから先生きていく上で、忘れてはいけないこと、心に留めておくべきことを、実体験を通してたくさん感じた1年でした。忘れられない1年です。

次回は、梅島アナウンサーです。

戻る

アナウンサーTOP
HOME