「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
入学
金澤 聡
(2007/04/11)
楽しかったことより、辛く苦しかったことを人はよく憶えているのではないでしょうか。
大学の入学式。
入学式二日前、浪人生活を1年経験した僕は、受験が終了した安堵感で入学式のことなど何も考えていなかった。夜、実家の母から電話。「入学式に着ていく服装は?」と突然の質問。「何も用意していないよ」と即答の僕。「どうするの?」と母。「スーツを友達から借りる」と即答の僕。僕と体格の似ている友達から借りればいいかなと楽観的だった。
入学式前日、友達にスーツを借りにいった。久々に会った友達。体格は同じだと思っていた友達が、若干小さくなったような気がした。僕が大きくなったのか。気のせいか。友達は快く貸してくれた。僕は、試着もせずスーツを借りていった。
入学式当日、友達から借りたスーツに着替えた。友達の体格は気のせいではなかった。スーツの丈が短くて、手足が出ている、そう、"つんつるてん"だ!入学式=人生の晴れの門出に、つんつるてん。スーツのズボンを腰ではいていた。ある意味、流行のはしりだったのかもしれない。しかし、もちろん当時はそんなズボンのはきかたは流行ってなかった。ジャケットは暑くもないのに脱いでいた。何とも辛く苦しい一日だった。式の内容などまるで覚えていない。とにかく恥ずかしかった。試着さえしていれば…。
皆さん、学生服の丈はいかがですか?スーツの丈は合っていますか?
(写真)計画性のない僕の机は資料が堆く積まれています。
次回は、人生の晴れ舞台に抜かりがなさそうな原アナウンサーです。