「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

ともに(1)
佐藤 拓雄
(2012/02/22)


去年4月から担当している番組「ともに」は、気がつけば、今月で11回放送しました。
一年の月日があっという間に流れた、というのが実感です。
でも、被災地は、月日だけが流れ、復興のスピードは、その月日に見あっただけのものには、残念ながらなっていません。

番組の中で、継続してお伝えしてきた、南三陸町歌津。
私は、毎回ここを訪れ、そのたび、高台の歌津駅から中心部の風景を見ることにしてきました。
写真は、その歌津駅から見た歌津の中心部。上が去年9月5日、下が今年2月8日です。
夏と冬で、草の色が違うくらいで、ほとんど変化がないように見えませんか?
がれきが撤去されてから半年近く経っているのですが、何もない、荒涼とした景色が、続いているのです。

番組「ともに」は、おかげさまで、回を重ねるごとに、放送してくださる他地域の局が増えてきました。
関西テレビ(関西地区)、東海テレビ(東海地区)、岡山放送(岡山、香川)、テレビ熊本、テレビ静岡。
そして、こうした県外の方々からの温かいメールが番組宛に届いています。
深夜に放送してくださっているところが多いようですが、送信時刻を見ると、真夜中の、番組を見てすぐに送ってくださったと思われるものも少なくなく、離れていても、そのお気持ちが強く伝わってきます。

時間が経つにつれ、私たち被災地と、そうでない地域との「温度差」は広がっていきますが、その一方で、遠くからこちらを思ってくださる方々もいる。「ともに」復興を願ってくださる方々がいる。
被災地から外へ発信すると同時に、こうした「ともに」を被災地に伝えていくことも、私たちの役割なのだ、ということをこのところ感じています。

次は、浅見アナウンサーの「ともに」です。

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