「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

ともに(2)
林 佳緒里
(2012/03/05)


「ともに」復興へ向かっていくために、自分でも力になれることは何だろう?
これは、震災後、誰しもが考えたことだと思います。
被災地に行ってボランティア活動、被災地の特産品を買うなどいろいろあります。

私は、こういう仕事に身をおく以上、被災地の現状を多くの方に知ってもらうため、取材して伝えることもその一つだと思っています。

そしてもう一つ。
各被災地では、「一口オーナー制度」というものを導入しています。そのオーナーになってみるのも大きな支援の一つだと思います。

例えば、漁業の町では、オーナーから預かったお金を漁具の購入費用などにあて、代わりに漁獲できた海産物などを贈ってくれるという仕組み作りが行われています。

私も取材でお世話になったご縁から、亘理の「鈴木観光いちご園」のオーナー制度に参加しています。
これは、オーナーから預かったお金を来シーズンのイチゴ苗の購入費用にあて、そのジーズンに収穫できたいちごが贈られてくるというものです。

この観光いちご園は、震災で以前あったハウスが全壊、ご自宅も全壊してしまいました。
これまで一緒だったご家族での経営も今は別々です。
亘理に残って、以前とは別の亘理町内の場所で、鈴木観光いちご園の再開に尽力しているのは、次男の鈴木信之さんです。

ゼロからのスタートを決め、ビニールハウスは自分で組み立て、苗は友人から譲り受け、今年も1月から、観光いちご園を再開させていらっしゃいます。

私も2月上旬に、いちご狩りにお邪魔させていただきました。
規模は以前の3分の1ということですが、そこには確かに真っ赤に色づいたイチゴがありました。
どれほどのご苦労があって、どれほどのお気持ちがあって、このイチゴがあるのだろう?そう思うと、一粒一粒がより美味しそうに、輝いて見えました。

一緒にいった2歳の息子には、その価値は分からないと思いますが、いつか必ず、その時の写真を見せて、そのことを伝えたいと思います。

微力ながら、自分にもできることがあるはず!
震災からまもなく1年、自分にできる「ともに」をあらためて考えるきっかけの節目なのかもしれません。

明日は、ななちゃんです。

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