「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

ともに(3)
梅島 三環子
(2012/03/26)


先週19日、南気仙沼小学校の卒業式へ取材に行ってきました。南気仙沼小学校は、この春から気仙沼小学校に統合されるため、この日は45年の歴史に幕を閉じる最後の卒業式となりました。
小学校は、もともとの校舎が津波で使えなくなり、震災以降は、気仙沼小学校を間借りして学校生活を送ってきました。
学校が被災したということで、近くにある児童達の家も多くが被災。350人いた児童のうち150人が転校を余儀なくされました。

写真の鐘は、「友情の鐘」というもので南気仙沼小学校の卒業生が、卒業式の日に1度だけ鳴らすという代々受け継がれた伝統の鐘です。
1度は海水に浸かり、さび付いてしまいましたが、卒業式のこの日に合わせ、元の校舎から曲がり先に移されました。最後の卒業式にも伝統はしっかりと受け継がれたわけです。

さび付いて、お世辞にもキレイな鐘とはいえませんが
鐘の音は本当に美しくよく響いていたのが印象的でした。

私にも経験がありますが、母校がなくなるということは、誰にとっても寂しいものです。まして、震災によって突然統合が決まってしまったら…
卒業生、在校生の悔しさは計り知れないものがあります。
でも、卒業式の日…児童が教えてくれました。
「南小はなくなっても、南小で培ったことは消えないし
南小の卒業生ということを誇りにして中学校に進みたい」と。

これから、形として残る南小は数少ないかも知れませんがこの鐘だけは心の拠り所としても大切にされていってほしいと心から思いました。

明日は、拓雄アナウンサーです。

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