「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
神神・神無月
金澤 聡
(2013/10/09)
9月26日。
無神論者ではあるが、この日、間違いなく神はいた。というより、「観た」、か…。
所沢の逆転勝ちと札幌での逆転負け。
劣勢を一打で払拭する4番の存在。
リリーフ故障で、緊急登板のベテラン。今季加入の会見で「宮城にチャンピオンフラッグをたなびかせる」と宣言したこのベテランが、形にしてみせた。
最後のマウンドに立っていたエース。一打出れば三夜連続のサヨナラ負けのピンチで、相手の3番、4番に対し全球ストレートで勝負し、二者連続三振。両手を天に突き上げ、マウンドで彼を中心に歓喜の輪が出来た。
間違いなく野球の神にしか描けないシナリオである。
私はこの神脚本の劇を、目の前で鑑賞した。
悲願の初優勝という大団円につながる終盤の展開は、神業のそれであった。
球団創設初年度からの歴史を知る宮城の人には、感涙にむせぶ特別な日になったと思う。
10月は八百万の神が出雲大社に集まるため日本各地で神が不在になるという。
どうか野球の神だけは、宮城に残ってほしい。
当然、初の日本一になるシナリオを描いてほしいから。
次は、小口アナウンサーです。