「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

オータム・イン・MIYAGI
金澤 聡
(2013/10/30)


「勝つことで、被災地に勇気を与えたい」
今シーズン、星野監督は念願を叶えた。
1からチームを作り直し、3年かけて見事パ・リーグの頂点に立った。
大小にかかわらずミスには目をつぶり、じっくり腰を据え
若手を育て花を咲かせた。
球団は、複数年の契約を星野監督に用意した。

一方で、チーム最長となる6シーズン目の指揮を執る
手倉森誠監督が、今シーズン限りでベガルタ仙台を去る。
コーチ在籍を含めると、ちょうど10年になる。
秋の空のように監督交代を繰り返してきたチームが、
ようやく監督人事にどっぷりと座して構えた。
そのチームの姿勢に、手倉森監督は応えてみせた。
就任2年目でJ2を制し、J1再昇格を決めた。
震災の年に4位と躍進、「希望の光になる」と掲げ形にしてみせた。
昨シーズンはクラブ史上最高位の2位。
今シーズンはクラブ初のACL(アジア・チャンピオンズリーグ)出場。
この6年で多くの功績を残した。
若手生え抜き選手育成の手腕が認められて、
来年からは2016年のリオのオリンピックを目指す、
U-21日本代表の監督に就任する。

ともに共通するのは、
若手を厳しい競争にさらしながら、成長を信頼して起用し続ける。
粋に感じた若手がチームを押し上げ、勝利の駆動力の主となり、最終的に結果を残す。
いわば、伯楽にして、モチベーター。

ここでふと我にかえる。
若手育成に深く傾倒している自分は、もはや、中間管理職。
背中に吹きあたる宮城の秋風を悲哀と感じず、追い風ととらえ、
若手とともに実りの秋にしたい。

次は、小口アナウンサーです。


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