「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

芸術の秋
佐藤 拓雄
(2014/10/21)


我が家のスズムシです。
夜はもちろん、朝も昼も、結局のところ一日中、よく鳴いています。
鈴の音の大合唱は、今の季節限定、まさに芸術の秋です。
先日、食卓にサンマの塩焼きが上った時は、鈴虫の音色を聞きながら秋の味覚、という贅沢。
子どもたちも「秋だ!秋だ!」と喜んで、スマホでスズムシとサンマを撮っていました。

ご存知の方も多いと思いますが、鳴くのはオスだけで、写真のように広げた羽をこすり合わせることで音が出るのです。それがなぜあんなに芸術的なきれいな音なのか、不思議ですねえ。

子どもの頃にも飼っていたので、スズムシのお世話は専ら私の役目。
ナス、煮干し、粉のえさなどを与えています。
先日、住まいである飼育ケースが手狭になってきたので、引っ越しさせましたが、30匹余りを移すのはなかなか骨が折れました。一匹ずつ割り箸に止まらせて、新しい住まいへ…新居に移ったスズムシたちは、それまで以上に元気に鳴いてくれるようになった、と解釈しています。

しかし、そんな芸術の秋も、終わりが近づいていることは分かっています。
スズムシの寿命は数か月。
成虫になって、大いに鳴いているということは、その命もあとわずか、ということでもあります。
そんなことを考えると、鈴虫の鳴き声も、芸術の秋、というより、命のはかなさを伝えるものに聞こえてきてしまいます。
一日でも長く、我が家の芸術の秋が続きますように…

明日は、金澤アナウンサーです。

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