「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

振り返る2014
金澤 聡
(2014/12/10)


今年は、"去る美学" これに尽きます。

シーズン終盤で、イーグルスの闘将星野仙一監督が退任を発表しました。
全く予期していないことだったので、正直、驚きました。
昨年は球団創設9年目で日本一に導き、公言通り東北を熱くしました。
今シーズンは、エース田中将大投手が海を渡るなど戦力ダウンが否めない状況でペナントを戦い、なかなか結果が伴わない中、シーズン途中で星野監督が闘病のため戦列を離れました。
球団は監督代行を交代するなど何とか浮上のきっかけをつかもうと策を施しますが、功を奏せず、最下位と低迷します。
明るい話題といえば、手術から星野監督が復帰してきたことでした。
闘病生活中にサッカーW杯ブラジル大会が開催されていました。
星野監督は復帰初日に発した言葉は、『ブラジルは暑かった!』
歩行も困難な状況で大変なリハビリをして復帰だったと思いますが、やや頬がこけた表情で、ジョークで第一声を放つ闘将の姿に感動しました。

体調が戻ったはずの闘将が、まさかの退任発表…。
『監督たるもの、いかなる理由でも戦列を離れてはいけない』
退任の理由は、星野監督のぶれない信念と勝負の哲学でした。

今シーズンは複数年の監督契約をしていたにも関わらず、信念を曲げずに退任。

去り方を見せることで、残されたものが大きな財産を得ることもある。
闘将が去る寂しさと闘将の去る美学に立ち会えたことのオマージュ。
今シーズンは感謝の1年でした。ありがとうございました。

次回は、梅島アナウンサーです。

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