「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
夏が来れば思い出す
佐藤 拓雄
(2015/07/01)
夏が来なくても思い出しますが、長女と次男が夏の生まれです。
次男が生まれた6年前の夏に、育児休暇を取りました。
(写真は次男誕生の日の夏空です)
たった7週間でしたが、これでも長い方のようで、育休取得者の半分以上は2週間以下という統計がありました。
そうした短い期間の人も含めた、男性の育休取得率が、2012年度で1.89%。子どもが生まれた男性の100人に2人も取っていない計算です。
現在の政権は、男性の育休取得率を上げる、ということを声高に言っています。
統計としての取得率に意味がないとは言いませんが、それだけを取り上げて、上がった下がったと言ったところで、少子化や子育て環境全体の中で、さほど大きな意味があるとは、私には思えません。
そもそも、育休は、勤め人、しかも正規雇用だけの話。自営の人もいる、さらには、これだけ非正規雇用が増えている現在、育休だけを論じても、私が取った当時と比べても、意味は相対的に低くなっていると思うからです。
そこは言わずに、一方では、非正規雇用がますます増えるような政策が打ち出される、その矛盾のほうが、私には目立って見えます。
そして、突き詰めて言えば、育休自体は、どっちでもいいことだと私は思っています。休みを取ろうが取るまいが、男も女も、親としてやるべきこと・責任を果たすのみ、というのが今の私の心境です。育休の後も、子育ては20年続きます。その間、どう働き、どう家庭生活を成り立たせるか、ということのほうが、育休を取るか取らないかということより、よほど重要なことです。そして、それに対して社会がどういう仕組みで支え合うのか。
ただ、取りたい人が取れるという環境であることは大事だと思っています。全体の中で何人が取った、ということよりも、取りたい人が取れる、そういう社会全体の寛容さがほしいと思います。
だいたい、「イクメン」なんていう言葉があること自体が、今の世間の状況を端的に表していると思いませんか。
父親の代わりはいないし、母親の代わりもいない。だからやる。それだけのことで、それを理解し合えれば、つまりは「お互い様」だから支え合うということになると思うんですけどね・・・
次は、飯田アナウンサーです。