「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

東日本大震災7年
寺田 早輪子
(2018/03/05)


「語れば語るほど、気持ちを整理できるかと思ったけれど、正直、7年が経つ今も、気持ちはぐちゃぐちゃ。なぜ自分だけが助かったのか…。」

これは、被災地を訪れる人に、震災の経験を語る活動をしている男性から、先月、うかがったお話です。

男性は、2011年3月11日、襲いかかる津波から逃れ、助かりました。しかし、友人やご近所の方々が多く犠牲になり、「なぜ自分だけが」という思いを抱え続けてきたといいます。
それでも、
「災害はまた起こる。その時に備えてほしいから、迷いながらでも、伝え続けたい」、
「津波に流された故郷に、かつて『暮らし』があり、『命』があったことを伝えたいから、語り続けている」と、思いを話してくださいました。

震災で何があったのか、その時の思い、今の思いを語ることで、気持ちを整理できる方と、そうはできない方がいる。

長く時間をかけて、ゆっくりと自分の思いと向き合う方もいる。

7年という時間が経ったから、7年分、みんなが前に進めているわけではない。

「十人十色」という言葉がありますが、あの日、震災を経験した人の分だけ、それぞれの思いがあると、改めて実感しました。

私は、この7年で何人の思いに触れてこられただろうか、と考えます。
一人でも多くの思いに触れて、それぞれの7年を「聞く」ことを、これからも続けていきたいと思います。

『あの日から、今の思いを、聞かせてください。』


アナ・ログ。続いては飯田アナウンサーです。

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