「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
夏休みの思い出
佐藤 拓雄
(2007/08/06)
僕が小学生の頃の夏休み、というと、必ず思い出されるのが、「特急ひばり」です。クリーム色(肌色?)の車体に赤いライン、車両に近寄ったときのモワッという温度や独特のにおい、上野駅の蒸し暑さ、列車の中で食べた冷凍ミカンやホタテの貝柱。どれも五感でよみがえってくる感じです。
向かう先は、いつも郡山。夏休みと言えば、必ず郡山でした。福島県の郡山市です。父の実家があり、祖父母に会いに行くのが、恒例行事になっていたのです。
当時はまだ東北新幹線開業前。東京に住んでいた僕たちは、上野発の「特急ひばり」に乗って郡山へ行く日を、何日も前から指折り数えて楽しみにしていて、それこそ前日は興奮して眠れない、なんてこともあったような気がします。
郡山には4~5日泊まるわけですが、特にビッグイベントがあるわけでもなく、せいぜい阿武隈洞や猪苗代湖、会津若松の鶴ヶ城を見に行ったことがあるくらいで、ほとんどは、祖父母の家の周辺で過ごしました。新鮮なトウモロコシやトマトを縁側で食べたり、近所の駄菓子屋で買い物したり、近くの公園で模型飛行機を飛ばしたり。
大人になって考えると、ホント、なんでもないことばかりをして過ごしていて、どこにも行ってないよなあ、と思います。でも、それでも、子ども心には楽しくて仕方なかった大切で幸せな思い出。つくづく「モノより思い出」だなあと思いますし、自分の子どもたちにも、「モノより思い出」をたくさん作ってあげられるといいなと思っています。
写真は、撮りたてホヤホヤ、今年の夏休みの思い出の一枚です。家族で沖縄へ行ってきました。本島のちょっとした離れ島のビーチです。文字通り透きとおった海に一家で大感激!ひざ上くらいの浅いところなのに、ちょっと水の中を覗くと、熱帯魚がたくさん泳いでいました。
子どもたちが大人になったときに「モノより思い出」と思える旅行になっていればいいと思っています。
それにしても、「特急ひばり」の終着駅・仙台に住むことになろうとは、その当時は、夢にも思いませんでした。人生は不思議です。
続いての出射アナウンサーは、今でも夢に見るほどツラい思い出があるそうです。どういうこと!?