「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

記憶に残るニュース
寺田 早輪子
(2018/05/28)


仙台放送に入社して4年目の夏のはじめ。
土曜の朝、激しい揺れで飛び起きました。

2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震。
土砂崩れで道路が寸断された栗原市栗駒耕英地区や花山地区に、毎日のように取材に入り、リポートしていました。

「災害発生時に何を伝えるべきか。」
「発生から1カ月目、2カ月目…、報道機関が被災地で活動する意味は。」
「さらに、1年後、2年後…、大災害の教訓が忘れられないよう、私が果たす役目は。」

災害報道で大切なことは、栗原で被災されたみなさんが教えてくれたと感じています。

そのうちのお一人に、耕英地区で出会った当時83才の男性がいます。
戦後、栗駒山中腹の耕英を開拓した人々のうちの一人で、地区に避難指示が出された時にも「絶対に、耕英はよみがえる」と、インタビューに力強く答えてくださったのを覚えています。

あれから、今年で10年。
男性は、今年、病気で亡くなりました。93才でした。
ごく最近まで、冗談交じりのメールをいただいていたので、本当に驚きました。
知らせを受けた時は、涙が止まりませんでした。

男性からの、ある言葉は今の私を支えています。
東日本大震災の数カ月後にいただいた言葉です。

最大震度7観測したのが栗原市だったことから、男性の身を案じて電話をかけたのですが、

「私の心配はいいから。この災害の影響は長引くから。
宮城も、あなたの故郷の福島もこれだけの被害が出たんだから、覚悟を決めて、仕事をしなさい。今、ここにいるあなたにしかできないことをしなさい。」

しっかり踏みしめないと、一歩も前に進めないような惨状の中で、
怯んでしまいそうな私の心に喝を入れてくれた言葉です。

言葉はずっと生き続ける。今、改めて実感しています。

☆写真は…、青葉区川内で見つけた白いタンポポ!珍しい!

アナ・ログ。続いては、梅ちゃんです。


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