「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
今年の総括
佐藤 拓雄
(2018/12/23)
今年も出張の多い一年でした。
行って仕事をしてとんぼがえり、という出張も結構ありますが、仕事の合間に、訪れた土地の風物に触れることができるのはちょっとした楽しみです。
【写真】は、先日、またまた出張で、愛媛の松山に行ったときのものです。
道後温泉近くの団子屋で食べた団子。
このお団子屋さんは、夏目漱石が松山に英語教師として赴任した時代から続く老舗中の老舗で、実際に夏目漱石が訪れて団子を食べ、小説に採り入れた、そのお店なのです。
私は実は、予備知識もないままに、ふらっと入ったお店だったのですが、ど真ん中ストライク、大当たりでした。
三色のほうが有名な「坊っちゃん団子」ですが、小説「坊っちゃん」に「団子二皿七銭」と出てくる団子は、三色の「坊っちゃん団子」ではなく、写真の真ん中、串にささっていない、黒いあんこの「湯ざらし団子」の方だそうです。
なんとなく名前から、三色の方を夏目漱石が食べたのだろうなと思ってしまいますが、このお店の当時のご主人が、「坊っちゃん」発表後に、「坊っちゃん団子」を考案して売り出したということですから、小説の題材になったのは間違いなく「湯ざらし団子」なわけです。
「これが「団子二皿七銭」の団子か・・・」と思うと、実に感慨深く、知的好奇心が大いに刺激されてきます。
お茶を飲みながら2種類の団子を食べ、漱石の足跡や「坊っちゃん」の一節に触れ、頭も心もお腹も満たされ、翌日の仕事にも、いつも以上に身が入りました(・・・と言っておきます。)
残念ながら「湯ざらし団子」は、賞味期限がその日のうちということで、お土産として持ち帰ることはできませんでしたので、三色の「坊っちゃん団子」を家族へのお土産にして、仕入れたばかりの団子の薀蓄を土産話として語りました。
すみません、「今年の総括」が最初の一行だけになってしまいました。
さて、皆さま、今年も仙台放送アナウンス部を応援してくださり、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
そして、どうかよいお年をお迎えください。
明日は、梅島さんです。