「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

東日本大震災8年
佐藤 拓雄
(2019/02/27)


今年の3月11日で、東日本大震災は8年となります。
今回は、私たちアナウンス部、それぞれの震災への思いを綴ることにします。

私は、震災の翌月から「ともに」という震災の番組を担当しています。来月で丸8年。今年の夏には、放送回数が100回になります。
今は、番組を続けていること自体も、一つのメッセージになっているのではないか、と思っています。

取材の中で出会った、印象的な言葉を改めて思い起こしました。

「2011年の3月11日は特別な日だけれど、これからの3月11日は、前を向いて歩いていく365日のうちの一日でしかない」
震災2年という時に、ある若い漁師さんはこう言いました。
逆に言えば、震災とは、3月11日のことを言うのではなく、毎日が震災なのです。
8年が経とうという今なお、仮設住宅で暮らす人が700人以上もいます。
行方不明のままの方は、1200人以上。
震災発生当時、復興は途方もなく長い道のりだろうと思った一方で、8年経っての今のこの状況までは想像できていませんでした。

震災は今も終わっていません。

この震災について、この仕事をする私たちができること、しなくてはならないことは、当初からはっきりしています。
9年目に入っても、それは変わりません。
震災直後から肝に銘じているのは、「最後の一人が『復興した』と言えるまで伝え続けること」です。

加えて思うのは、「最後の一人の復興」の次にも、私たちがすべきことはあるということ。それは、震災を知らない世代に、震災を伝えていくことです。

私たちのすべきことにゴールはなさそうです。

【写真】岩手県宮古市の宿泊施設に掲示されていた絵。宮古市役所周辺を襲う津波を、市民の一人が描いたようです。記憶を形にして残し伝えていくことの重要性を感じました。

明日は、「ともに」を一緒に担当している梅島さんです。

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