「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
宿題あれこれ
(2007/08/21)
『ごんぎつね』って皆さんご存知ですか?小学校の国語の教科書に載っていた物語なのですが、最近の教科書にもあるんでしょうか?いたずら好きのキツネの「ごん」とおじいさんをめぐる物語。貧しいおじいさんを思って鰯やら栗やらを盗んだり獲ったりしては、毎日おじいさんの家にこっそり置いていった、ごん。しかしある日家でおじいさんとばったり出会い、何か盗みにきたと誤解され銃で撃たれてしまうというちょっと悲しいストーリーです。
小学校の頃、その読書感想文が宿題で出されました。そして提出後、迎えた国語の時間。先生が「みんなの感想文で特に良かったものを今から朗読する」なんて言い始めました。次々と生徒の名前が呼ばれ、公開朗読される中、呼ばれたんです、僕の名前が。
「板垣君のは皆とちょっと違いますよ~よく聞いてくださいね~」
恥ずかしくも、内心やっぱり嬉しいものです。が!先生が僕の感想文の書き出しを口に出した瞬間、起きたのは、笑いでした。
なぜか。
僕は「感想文」と言われたはずなのに、ごんへの「手紙」を書いたのです。なぜだかは今思い起こしても全くわかりません。わからないけど、誤解されたまま死んでいったごんが本当にかわいそうで、同情してあげたくて、その思いを赤裸々に綴っていました。「ごん君、きみはいい子なのに、可哀想だったね」なんて書き出しから始まり、「ごん君、撃たれて痛かったろう」などと哀れんだり、思いやりに敬意を表したり。一体お前はごんの何なんだ、友達か!と突っ込みたくなるほど、とにかくごんを熱く持ち上げる手紙でした。
しかしクラスから見ればただの的外れ。「なにそれ~」「ごん君だって~変なの~」容赦なく浴びせられる嘲笑。珍獣を見るような目。先生は先生で、「そんなこと言わないの!素晴らしい感性じゃないの!」と言ってくれて、朗読を続けるんですが、僕には逆効果。あぁ、もうやめてくれとひたすら願ったものです。
『宿題あれこれ』というテーマで考え始めて、真っ先にこの思い出が蘇ってきました。10何年も前の話なのに。よっぱど当時の僕、辛かったんだろうな笑
次は梅島さん。宿題は出来は別としてすぐ片付けるイメージがありますが・・・・・・