「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
ヒヤッとする怖ーい話
佐藤 拓雄
(2019/08/14)
先日、仕事中のことでした。
社内でついていたテレビから、速報ニュースとして、
「大学のボートが海で転覆、20人以上が海に投げ出された」
という一報が入ってきました。
大学名そしてボート部と聞いて、ゾッとしました。
長男の高校時代の野球部の仲間が、その大学のボート部にいると聞いていたからです。
私自身も保護者として部活動に関わるなかで、自分の息子の一人のように思う、長男の元チームメイトです。
そこから詳細が分かるまでの時間が、本当に長く、重苦しいものでした。
ニュース以上の情報はおそらくどこにもないはず。ニュースの一報とはそういうものです。
それは分かっているのに、何か他にないのか、どこかにそれ以上の情報はないかと、探そうとします。もちろん、何かあるわけがありません。
焦る気持ちと、どうか万一のことがありませんようにと、祈るような気持ちで、仕事どころではありませんでした。かと言って、詳しいことが分からない段階で周囲にあれこれ言うのも憚られ、息が苦しくなるような時間でした。
結局、その後のニュースで、全員無事、と伝えられ、まずは一安心。
長男に、その友達に連絡を取ってみてくれ、と連絡し、詳細が分かりました。
ややこしいのですが、ボート部といっても、転覆したのは、海でやるほうのボート。長男の友人は、川でやるほうで、そもそも部が違うとのこと。このため、事故には全く関係していなかったということでした。
それにしても、「血の気が引く」とはまさにこういうことか。ヒヤッとするどころではない、ゾッとした恐ろしい話でした。
そして、改めて思うのは、こうした思いでニュースを待つ人がいるということ。
入社の時から教えられてきたことではありますが、待つ人たちに情報を届けることの重み、その人たちの思いを感じて伝えることの大切さを、確認させられた出来事でした。
【写真】先月家族で訪れた岩手県宮古市の海。猛暑の日でしたが、澄んだ海水は、だいぶ「ヒヤッと」していました。
明日は、高橋アナウンサーです。