「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

ショックだったこと
金澤 聡
(2019/09/25)


この夏に、福岡の宗像大社に行きました。
「神宿る島」と言われる宗像・沖ノ島と関連遺産群が世界文化遺産に登録されています。
冒頭『行きました』と書き出して、あたかもそれが目的で自主的に行ったかのような表現ですが、実は、福岡旅行したときに知り合いのご家族に勧められて一緒に"連れて行っていただきました"。

私にとってはとても神秘的でした。
神話の世界でしか知らない、『天照大神』の三女神がまつられていて、日本創造に触れたような感覚になり感動。さらに、境内にある、国宝8万点を収蔵展示されている「神宝館」に行くと、学校の歴史の授業で習ったものが数々展示。勾玉、鏡、銅剣など国宝の展示物の圧倒感。
歴史の教科書に掲載されている写真群が私の脳裏にフラッシュバックしてきては、『本物だぁ』とため息のような感嘆の声が自然と漏れていました。
この上ない満足感を得て帰路につこうとした時、子供たちが宗像大社の池のそばで鯉の餌が売られていることに気づきました。まあ、夏休みだし、世界遺産に来た記念になればと思い二袋買いました。

餌を池に投げ入れたとたん、池中の鯉が一斉に集まり始め、群れをなし、我も我もと争うように口を広げて餌を求めてきます。上を下への大騒ぎとはこのこと、鯉が鯉の上に乗り上げ、激しい水しぶきを上げながら襲いかかるように餌に向かってきます。
厳かな宗像大社の雰囲気の中で、生きることへの激しすぎる欲を目の当たりにして、その景色に若干ショック覚えたものの、何だかんだ言っても、命あるもの最後は"食すること"なのかもしれないと妙な悟りを感じました。
宗像大社の鯉こそが、霊験あらたかだったのかもしれません(笑)

次は高橋アナウンサーです。

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