「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
祖父母の思い出
佐藤 拓雄
(2007/09/06)
小学3年生の長男が、この夏休み、足しげく、「おじいちゃん」(僕の父)のもとへ通いました。土日と旅行中をのぞき、ほとんど毎日、午前中の1時間を、「おじいちゃん」のところで過ごしていました。
何をしていたかというと、自由研究。長男が、この夏休みの自由研究のテーマとして選んだのが、「佐藤家の歴史」、つまり、自分のルーツを探るということ。「おじいちゃん」が、以前にいろいろ調べていたことを知っていたので、「じゃあ、まずおじいちゃんに聞いてみたら」ということから、こうなったのです。
「おじいちゃん」の調べた分量もかなりのもので、その話をまとめるだけでも相当な内容になることが予想されました。限られた時間でどの程度できるのか、僕としては未知数なところもあったのですが、こちらの予想をはるかに超えた、粘り強い取り組みになりました。…と言ったら、長男と「おじいちゃん」に失礼かな?…ともかく、長男は、毎朝、自分から「おじいちゃん」に電話をかけ、「きょうは何時からできますか?」とアポを取り、時間になると、何をおいても、いそいそと出かけていき、みっちり、「おじいちゃん」の講義を受けてきます。一度だけその様子をのぞいてみたのですが、実に集中して取り組んでいて、「おじいちゃん」とわが子の強い師弟関係(?)に感心してしまいました。
さらには、「おじいちゃん」との、日帰り二人旅で、佐藤家「発祥の地」の実地調査まで敢行。満足げに帰宅した長男は、母親にこう言ったそうです。「僕も孫にこういうことしてあげたいんだ」。
そんな、おじいちゃんと孫の関係を、息子であり親である僕は、なんともうらやましく思います。僕の祖父母は4人とも優しい人たちでしたが、僕の長男ほど近くに住んでいたわけでなかったこともあって、ここまで濃密に過ごした記憶はありません。長男にとって、こうして「おじいちゃん」と過ごした思い出は、何にも代えがたい宝物になることでしょう。うらやましいと同時に、長男と「おじいちゃん」がそのような関係でいられることに心から感謝したいと思っています。
写真は、僕の父方の祖父。僕が10ヶ月の頃のもので、祖父はこのとき70代だったはずですが、こうして毎日仕事に行っていました。現役時代の長い、元気な祖父でした。
次は、原アナウンサーです。