「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

11/26 いい風呂の日「お風呂と私」
佐藤 拓雄
(2019/12/05)


【写真】は、愛媛県松山市の道後温泉本館内、「坊ちゃんの間」。かつて、夏目漱石が松山に教師として赴任した際、湯上りにくつろいだと言われる場所だそうです。
現在は、保存修理工事のため、非公開になっているようです。写真だとなかなか表現できていませんが、風情とはこういうことか、というようなことを感じる温泉でした。

さて、大学時代、最初に住んだアパートは、風呂・トイレ共同でした。しかも風呂に入れるのは、週3日だけ。
築何年か分からないほど古いアパートで、かぐや姫の「神田川」が聞こえてきそうな環境でした。

親から仕送りをもらう立場として贅沢はできないと、親に大いに遠慮したのと、そういうアパートでも、初めての一人暮らしで「自分の城」という意識があり、決して我慢してそこに住んでいる、という感覚はありませんでした。

ただ、汗をかく季節になって、その不自由さを感じるようになりました。
銭湯にも行きましたが、入りたい時に入れない、というのが、じわじわとストレスになってきました。
同時に、半年ほど一人暮らしをしてみて、なんとなくお金のやりくりが見えてきて、もう少し家賃が上がってもやっていけると思えたため、同じ町内に新築の物件を見つけ出して、引っ越しました。

風呂とトイレが分かれていないタイプのユニットバスでしたが、自分の中では、「文明開化」と言えるほどの(笑)ランクアップ。

12月中旬で寒くなってきたころの引っ越しで、手伝ってくれた友達は、帰り際「じゃあ、熱いシャワーを思う存分浴びてくれ」と言い残していきました。
その言葉通り、シャワーの蛇口をひねり、出てきた熱いお湯に、じんわりとありがたみを噛みしめた、大学1年の冬でした。

明日は、寺田アナウンサーのお風呂話です。

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