「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
涙のお話
金澤 聡
(2020/07/01)
「人様の前で涙を流してはいけない」と勝手に思っています。
もともと涙もろいところがあり、涙を見せることが恥ずかしいと思っています。なぜ恥ずかしいと思うようになったのか、過去に何かがあったのか無かったのか全く分かりませんが、人前で涙腺崩壊するのは抵抗があります。
周りに誰もいなければ、小説を読んで涙を流し、映画を見ては涙を流します。
しかし、春先は全くの不可抗力で涙が溢れます。
花粉症です。
春の取材は大変です。試合前の練習取材で涙を流し、試合が勝っても負けても涙を流し、監督・選手の会見場で涙を流し、目は真っ赤に充血しています。
「どんだけ感情移入してんだよ!」と各社先輩記者にツッコまれることが慣例となり、春限定の挨拶みたいになっていました。こればかりは人目を憚らずにハンカチで目を覆います。
若かりし頃あるスポーツの実況中、試合も最終盤の佳境の時に、感情がこみ上げてきて泣きそうになりグッとこらえて我慢したときに「間」ができてしまいました。
反省会で先輩ディレクターから、「あの場面でよく『間』を作ったねぇ~いい『間』だったよ」と褒められたのを覚えています。
人間万事塞翁が馬。心は熱く、頭は冷静に…。心掛けたいものです。
さて写真は、春の花粉が苦手なので、夏象徴の花を家に飾ってみました。
一気に夏感満載です。
次は飯田アナウンサーです。