「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

涙のお話
佐藤 拓雄
(2020/06/29)


【写真】前回書いたカブトムシ。おととい、ついに羽化第1号が土の中から出てきました!涙は出ませんでしたが、感激でした!

さて、以前(調べたら13年前でした!)、このアナ・ログに、「自分にとっての「ベスト・オブ・マンガ」は『がんばれ元気』というボクシングマンガで、ストーリーや登場人物はもちろん、セリフの一つ一つまで今なお頭に入っていると言っても言い過ぎではないくらい読み込み、多大な影響を受けた」ということを書きましたが、去年久しぶりに一気に読み返しました。

やはり「マイ・ベスト・オブ・マンガ」であることは疑う余地もありませんでしたが、一つ違う感覚を覚えました。
それは、主人公・堀口元気の祖父母の見え方です。

元気の父と母は、駆け落ちして結婚し、しかも母親は元気を生むと同時に死んでしまいました。それ故、母方の祖父母は、元気の父を憎みに憎んでいます。ただ、孫である元気は可愛い。父も試合中の事故がもとで死んでしまい、元気はこの祖父母に引き取られるのですが、数え切れないくらい繰り返し読んだ子ども時代の私には、元気を溺愛する一方で、元気の父とボクシングを憎む祖父母の様子が、憎らしくて仕方がありませんでした。

ところが、自分が親となり、長男が成人した今になってみると、祖父母の気持ちも非常によく分かるのです。

特に、元気が、上京する前夜から当日朝のくだりは、以前は、元気の側からしか見えていませんでしたが、今回は、祖父母の気持ちが沁みる!沁みる!
荷物を詰め込みながら顔中を濡らす元気の涙よりも、明け方、家をそっと出て走っていく元気の声が遠ざかるのを聞きながら、ベッドに入ったまま、これまた顔中を涙で濡らしている祖父母の涙の方に、私は心を大いに揺さぶられ、私の視界は、涙でぼやけました。

・・・と、熱く語ってきましたが、今回は、ほとんどの方には「なんのこっちゃ???」という話だったことでしょう。すみません。

今度「涙」がお題の時は、「なみだ橋を逆に渡る」話にします。これも分からないですね。


明日は、梅島さんの涙のお話です。

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