「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

Myルール
佐藤 拓雄
(2020/11/06)


私は、特に仕事に関しては「Myルール」を作らないようにしています。
逆説的に、それが「Myルール」といえばそうなりますが、そういうルーティンを設けて、それがないとダメ、ということになるのがよくない、という考えからです。
入社してくる新人のアナウンサーたちを指導する立場になってからは、その新人アナウンサーたちにも、放送に臨むにあたってのルーティンを設けない方がいいよ、と伝えています。人それぞれではありますが、ルーティンが達成されないことで動揺するのも本末転倒ですからね。

それでも、放送に関しては、「Myルール」というより、「アナウンサールール」は存在します。

例えば、放送直前に絶対に走ってはいけない。
息が切れるからです。
それは当たり前でしょう、と思った方もいるかもしれませんが、特にこれを忘れてはいけないのは緊急時です。
一刻も早くスタジオに行き、緊急放送を、という事態でも、やはり走ってはダメなのです。
東日本大震災の時、揺れてすぐに、アナウンス部の自席からスタジオに向かいました。
大した距離ではないのに、スタジオが遠く感じ、非常にもどかしかったですが、それでも、走ってはいけないということは忘れませんでした。
もっとも、この時は、まだ大きく揺れている中だったので、スタジオに向かう途中も体が左へ右へと持っていかれて、実際には走れる状態でありませんでした。
そして、今だから言える恥ずかしい話ですが、走らないルールは守ったものの、あまりの大きな揺れに戦慄が走り、走ってもいないのに、心臓はハカハカしていました。意味ないじゃん、とは言わないでください(笑)
後日、系列のアナウンサーの先輩から、同じ震災の時の話を聞きました。この先輩も走らずスタジオに向かったそうです。廊下の向こうから、その姿を見た報道の上司に、なんでゆっくり歩いでいるんだ!早くしろ!と大声を出されたそうですが、それでも絶対に走らなかった、と言っていました。
小さなことかもしれませんが、私たちアナウンサーにとっては、やっぱり大切なルールです。

生放送の前にエレベーターを使わない、というアナウンサールールもあります。
もちろん、閉じ込められる恐れがあるからです。
ただ、エレベーターを使わず、階段を上って息が切れてはどうしようもありませんので、生放送には、色々な面で余裕を持って臨まなくてはいけませんね。

【写真】は、SNS等で話題だという、いちごのドリンク@名取市閖上の「かわまちてらす閖上」です。私ではなく、ともに大学生の長男&長女が飲んで写真に撮ったものです。特に長男は、話題のものにはとりあえず手を出すのが「Myルール」のようで・・・

次は、西ノ入さんの「Myルール」です。

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