「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
幼い頃に憧れた職業
佐藤 拓雄
(2020/12/03)
今回のテーマ、2007年にも「子どもの頃なりたかったもの」というお題で、同じような話を書いていました。帽子に憧れてコックになりたかった、という話。詳しくはそちらをご覧ください。
・・・というわけにもいかないですね。
コック以降、憧れた職業と言えば、漫画家です。
小学生から中学生にかけて、とにかくよく漫画を読んでいて、小遣いのほとんどを漫画につぎ込んでいました。
漫画の原体験ともいえる「ドラえもん」に始まり、「ドカベン」「ブラックジャック」といった不朽の名作をリアルタイムで読み、「マカロニほうれん荘」に衝撃を受け、「キャプテン翼」でアディダスの帽子をかぶったりしました。「あしたのジョー」や「がんばれ元気」でボクシングの奥深さを知り、矢吹丈が「真っ白な灰」になったラストシーンは、絵を描き写しました。
なかでも、「ドクタースランプ」の登場は私にとっては革命的で、鳥山明さんのような絵とギャグマンガを描きたい、少年ジャンプの漫画賞に応募しようかと、インクをつけるタイプのペンを買って、色々な絵を模写しました。
今思うと、いろんな物事にすぐ感化される子どもだったんですね。
ただ、絵を模写したり、自分で「それ風」の絵を描いたりすることは、ある程度できるようになりましたが、肝心のストーリーが全く思いつかない(笑)
漫画家ってすごいなあ、と改めて思いつつ、夢は夢のままで終わったのでした。
そんなことを書いていたら、一昨日、偉大な野球漫画家、水島新司さんが引退を発表しました。発表翌日のスポーツ紙が揃って一面トップで大きく報じていて、改めてその存在の大きさが分かります。
「ドカベン」をはじめとする水島野球漫画は、多くの人がそうであるように、私にとっても、「教科書」であり「基本書」です。さらに言えば、「ドカベン」は息子2人と親子二代にわたる愛読者です。
楽天初年度の2005年、水島さんが楽天の本拠地へ取材にいらっしゃいました。私自身も野球の取材で行っていたのですが、私にとっては水島新司さんの姿を見たことが、その日一番の出来事でした。
引退は寂しいですが、水島さん、本当にありがとうございました。
寂しいと言えば、もうお一人、「釣りキチ三平」の矢口高雄さんの逝去。本当に絵が美しく、矢口さんの描く魚たちは、生きて動いているような生命力にあふれていて、子どもながら毎回息を飲みました。
矢口さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。
【写真】石巻で見つけた「サイボーグ009」。こちらも偉大な漫画家で宮城出身の石ノ森章太郎さんの作品です。これも面白かったなあ。
続いては、堤アナウンサーです。