「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
雨といえば
金澤 聡
(2021/06/21)
梅雨明けのころ、蛍光色の淡い光が明滅する幻想的な光景が好きでした。幼少の頃よく目にした、たくさんのホタルが飛び交って作り出す景色。たった2週間の成虫期間の命を燃焼している光だと思うとどことなく儚さを感じた一方で、いよいよ夏本番の合図だと高揚する光でした。
「あの景色を子供たちに見せたいなぁ」
そんな思いから、先日ホタルの幼虫放流活動に参加してきました。
写真の手の上にのっているのがホタルの幼虫です。幼虫のときには、トンボの場合は「ヤゴ」、チョウならば「いもむし」など個別の名前がありますが、ホタルの幼虫は「水ボタル」と呼ぶそうです。確かに幼虫期でも光を放つので、水中で生息する幼虫が「水ボタル」というのも納得がいきます。
水ボタルは約9か月間水中で生息し、充分成長すると、水底から上がってきて岸辺に待機。雨が降り始める夜に岸辺から一気に陸へと上がってきて、さなぎから羽化して成虫となるそうです。
1年近くもかかって成虫になって、たった2週間の寿命とは、やはりどことなく儚い昆虫です。
雨と関係が深いホタルの生態。雨水が「にがいぞ」とか「あまいぞ」とか識別できるかは分かりませんが、今回放流した幼虫が幻想的な光景を作り出すのはあと1年後、ホタル、来いっ!
次は高橋アナウンサーです。