「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

佐藤 拓雄
(2021/10/12)


次男が1才を過ぎて言葉を発し始めたころ、毎日のように、「色」を表す言葉を教えていたことがありました。

当時、なぜか、次男が色とりどりの折り紙を気に入っていて、それを持ってくるので、私「これは赤。言ってごらん」、次男「あか」・・・というやり取りを、折り紙の束の分、ひと通りやるのです。

と言っても、言葉を発し始めたばかりですので、なかなかこちらの思うようには発音できません。子どものこの時期ならではの、いわゆる「片言」で、それがまた本当にかわいいので、こちらも飽きずに何度も繰り返しました。

今でも覚えているのは、「緑」が「みりり」、「青」が「あっおー」という二つ。青は「あお」と続けて発音してみせているのに、なぜか「あっおー」と、「あ」と「お」の間に促音の小さい「っ」が入るような形になり、「お」は「おー」と伸ばすのです。
聞き取った音がそう聞こえているのか、聞き取った音は正しく聞こえていても発音がついてこないのか、確かめようがありませんが、次男のみならず、長男、長女の時も、人が言葉を覚えていく過程というものを、じっくり見ることができて、本当に不思議だなあと思いました。

そういえば、長女は3歳くらいまで、「か・き・く・け・こ」が「た・ち・とぅ・て・と」になっていて、例えば「こわい」は「とわい」、「オオカミ」は「おーたみ」、「カメ」は「ため」という具合でした。当時は、かわいらしいと感じる一方で、大丈夫かな?という一抹の不安もなくはなかったのですが、いつの間にか普通の発音になっていました。

件の次男も、あっという間に、「青」は「あお」、「緑」は「みどり」ですし、小6になった今は、変声期が早くも訪れて声も低くなり、大人と対等に話すわけです。しかも、無類のマンガ好きで、漫画で覚えたヤンキー言葉なんかをわざと言ったりするものですから、「あっおー」の時期を鮮明に記憶している私としては、大いなる成長を感じながらも、ああ、あの頃はかわいかったなあ・・・と複雑な感慨に浸る、今日この頃です。

【写真】「あっおー」と言っていた頃の次男。

明日は、西ノ入アナウンサーです。

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