「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

東日本大震災12年
西ノ入 菜月
(2023/02/28)


12年前、宮城県石巻市の北上川川沿いに位置する大川小学校では、児童と教職員合わせて84人が津波の犠牲となりました。学校防災が大きく見直されるきっかけとなり、遺族の皆さんなどが、全国の学校関係者などに「命を守る学校防災の在り方」について伝える活動を行っていらっしゃいます。

その大川小学校では、去年から、命を守るための教訓を未来に繋ぐことなどを目的に企画された追悼行事を3月11日に行っています。「大川竹あかり」という行事で、竹に穴をあけて中から明かりを灯すものです。

この行事のボランティアを募集していることを知り、先日休みを利用して、その竹に穴を開ける作業に参加して参りました。冷たく強い雨が降る中にも関わらず、午前の部には、写真のようにたくさんのボランティアの方が集まりました。

直径10センチほど、様々な長さの竹に、穴あけ目安となる丸が書かれた紙が貼られてあり、穴の大きさに適したドリルを付け替えながら開けていきます。一つの竹に開ける穴の数は、大小合わせて大体100個ほど。参加された皆さんとともに、一生懸命、助け合いながら穴を開けていきました。

私が慣れない手つきでドリルを動かしていると、「こうやって力を入れると穴を開けやすいですよ」と、教えてくださった方がいました。

お話を伺うと、現在埼玉県で学校の教師をされている方で、以前、修学旅行で宮城県に来た際、震災学習で大川小学校の語り部をされている方にお話しをお願いしたのだそうです。「今日はその時の御礼がしたくて、埼玉県からやってきたんです」とおっしゃっていました。

その方に様々なお話を伺って、語り部をされている方の思いは東北以外の教職員の方にもしっかり伝わっていることを感じたほか、その「バトン」を受け取った方がこうして再びこの場所に来て、ともに作業をなさっていることにとても胸が熱くなりました。

震災発生から12年が経とうとしている今、問題なのは「当時の思い・記憶が風化してしまうこと」だと思います。
同じ悲しみを繰り返さないためにも、こうして全国の方に教訓を継承していくこと、
そして、全国で次の災害に生かしてもらうことが本当に大切なことだと感じました。

明日は牧アナウンサーです。

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