「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
東日本大震災12年
堤 勇高
(2023/03/09)
東日本大震災の発生から間もなく12年。
今も復興は進んでいます。
先日、震災前の街の様子を集めた写真展を取材しました。その中で、写真展を見に来ていた、震災前からその地域に住んでいたという方に話を聞く機会がありました。
その方は昔の街の姿を懐かしみながら「この姿の街はもう戻ってこないからなあ」とポツリ。復興が進む中ではありますが、決して取り戻すことができないものも数多くあると、改めて思い知った瞬間でした。
一方で、震災に関する話題に触れる機会は、良い話題も悪い話題も、減っていると感じます。宮城に来て5年の私がそう感じるとなると、震災直後から宮城で生活している方はなおさらそう感じるのではないかと思います。
そこで私が思うのは、3月11日という日の重要性です。日々の生活の中で、震災に関する話題に触れる頻度が減るほど、全員があの東日本大震災に思いを向ける3月11日という日の役割が大きくなるのではないかと思います。
懸念されている風化も、毎年3月11日にあの日の教訓や後世に語り継ぐべきことをしっかりと確認することが、これまで以上に大切になってくるのではないかと思います。
もちろんこれは、今も続く日々の復興をないがしろにしてもよいということではありません。報道に携わる者として、日々の動きにもしっかりとアンテナを張る。そして3月11日については年を追うごとに、よりしっかりとお伝えできるように、私自身の力もつけていきたいと思いつつ、今年の3月11日を迎えます。
写真は以前も少し載せましたが、南三陸で取材した「化石発掘体験」の際の写真です。表面的には「人気アクティビティ」と言えるこの発掘体験も、その奥には「被災地南三陸の新たな観光資源となり、復興へ」という思いがあります。
次は高橋アナウンサーです。