「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
東日本大震災12年
下山 由城
(2023/03/06)
東日本大震災の発生からまもなく12年。
そんななかで先月、トルコ・シリア大地震が発生しました。被害の映像は改めて地震の恐ろしさを痛感させられます。先月26日の時点で、各国のトルコ大使館などの銀行口座に寄せられた大地震支援の募金が総額4000万ドル(約54億円)に達したそうです。最も多いのは「日本」からとのこと。素晴らしいことだと思います。
トルコは伝統的な親日国です。外務省のホームページに載っていますが、1999年のトルコ北西部地震で最も迅速的かつ包括的に支援を行った国の1つが日本。一方で、2011年の東日本大震災の時には、トルコ政府が32人の救助隊を送り、各国の救助隊では最長とされる3週間の活動(宮城では石巻市、多賀城市、七ヶ浜町など)を行ってくれました。トルコは恩返しという気持ちで活動してくれたそうです。未曽有の大災害のときには、このような他国の援助というのも不可欠なのだなと実感します。
少し話は変わりますが、第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が明後日(8日)に開幕します。
これまで2006年、2009年、2013年、2017年と開催されてきたどの大会にも、生涯語り継がれるほどの名場面が思い浮かびますが、個人的に最も印象に残っているのは第3回大会の第2ラウンド日本vs台湾のエピソードです。東日本大震災から約2年が経過した2013年に開催されました。震災のとき、世界で1番多くの義援金など、いち早く支援に向けて動いてくれたのが台湾だったそうです。そんな台湾に感謝の思いを伝えようと日本の一部のファンがSNSで「会場でお礼のプラカードや横断幕を掲げよう」と呼びかけ、実際に観客席では多くのプラカードが掲げられました。台湾チームはそのことに気付いたようで、試合終了後には全員がマウンドを囲むように円陣を組み、観客席に向かって脱帽して深々と一礼しました(詳しくは様々な報道がされているのでぜひ調べてみてください)。国際試合の真剣勝負のなかで、勝ち負けに関係なく相手を尊重するという素晴らしい出来事だったと思います。
国と国のつながりを知ることで、前進することもあるかもしれません。そんなことも考えながら…WBCは2009年(もう14年前ですか…!)以来の世界一を期待して応援します!
お次は寺田アナウンサーです!