「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
東日本大震災12年
高橋 咲良
(2023/03/10)
明日で、東日本大震災の発生から12年です。
12年というと、今の小学生は皆んな、震災後に生まれた震災を知らない子供たちということになります。こうした子供たちなどへ、震災の記憶や教訓を語り継いでいこうと、県内には様々な伝承施設も完成しています。
そのうちの1つ、去年10月にオープンした「南三陸311メモリアル」へ、オープンしてから約1か月後に訪れました。その日は平日でしたが、午前9時の開館と同時に、団体のお客さんや小さな子供を連れた家族など、多くの人が続々と訪れていました。
施設へ入ってすぐの壁には「15.5m」という表示があります。これは施設の近くにある「防災対策庁舎」を襲ったとされる津波の高さを示しています。施設がある場所は10m程かさ上げされているのですが、それでも、自分の頭の遥か上に感じられて、これほど大きな津波が来たのかと実感し、恐ろしくなりました。
この施設の中心となるのは、当時、南三陸町で被災した89人の方々の証言が収められた映像です。周辺が綺麗に整備されて、当時の被害を感じられるものが少ない分、沢山の生の声を集めることで、当時を想像できるようにしたのだと、案内して下さった施設の方が仰っていました。
たしかに、津波によって壊された建物を見ることで、その威力の凄まじさなど学ぶことも多くありますが、あの時どんな状況だったのか、どんな行動が生死をわけたのか、震災を経験した方々の証言にも、何にも代えがたい力があると感じます。
消防署の署員や小学校の校長先生など、色々な立場や年齢の方々の証言が集まっているので、例えば、自分に境遇が近い人の体験談を聞くことで、震災を自分事として考えるきっかけになるのかもしれません。
こうした施設も、そこに訪れる人がいてはじめて、震災伝承という役割を果たせます。これからも被災地に足を運び、当時の話や今の思いなど被災した方々の生の声を聞き続けることが大切であると感じます。
続いては、佐藤アナウンサーです。