「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

旅あれこれ
佐藤 拓雄
(2023/05/22)


何度かこの「アナ・ログ」に書いていますが、出張の合間に、その土地土地の風物に触れるのがちょっとした楽しみです。特に、歴史に関わる事物に触れると、アドレナリンがぐわーっと出てくる感じがします。
仕事の出張を「旅」と言ってしまってよいのか、少々躊躇もありますが、広い意味での「旅」ということで、ご容赦ください。

【写真】は、そのひとつ、福岡の国指定史跡「元寇防塁」です。
福岡の系列局に向かう途中にあるという、実に都合がよい立地。
さらに、近くには「漢委奴国王」の金印を展示する博物館もあります。
時間があれば、欲張って両方見ておきたいところですが、大抵そこまでの時間は無いので、どちらかを見学し、アドレナリンを出して、仕事に向かう、という流れ(笑)
歴史発見の小さな旅は、私にとって脳の大切な栄養です。

さて、元寇防塁は、1274年、当時の「元」が博多湾に襲来した「文永の役」のあと、再び攻め込まれることに備え、鎌倉幕府が全長20kmに渡る石の砦を博多の海岸線に築いたもので、その一部が今も途切れ途切れに残っているのです。
その後、元の二度目の襲来「弘安の役」の際に、この防塁も効果を発揮して、元の上陸を防いだと、現地の説明書きにはあります。

歴史の勉強では、2回の元寇、「文永」と「弘安」どっちが先だったか、年号と名前、順番を間違えないように覚えた、という記憶のほうが大きいですが、この防塁を前にすると、その「元寇」が、教科書の中の話ではなく、本当にあった出来事として、俄然現実味を帯びて感じられました。

ところで、私が見たこの防塁は、地元の大学の敷地に隣接した場所で、すぐ背後には大学の建物がありました。
当時戦った御家人たちも、攻め込んできた元軍も、まさか1000年後そこに大学が建っているとは思いもしなかっただろうにと、くだらない考えも浮かんできましたが、この日も、史実を肌で感じ、大量のアドレナリンを脳内に巡らせながら、元気よく仕事に向かいました。

明日は、牧アナウンサーです。

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