「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

寒さの話あれこれ
寺田 早輪子
(2024/02/07)


先日、息子の小学校の通学路で旗振り当番を務めてきました。
カイロを肩甲骨、お腹、腰に貼り、十字路交差点の横断歩道で、「横断中」と記された旗を振り、登校する児童たちを見送りました。
子供達の元気な「おはようございます!」に励まされ、寒さも吹き飛びました。

年に何度か回ってくるこの役割を果たすとき、私はいつも「どうか事故がないように…」と祈るような思いで務めを果たしています。

というのも、実は私、小学1年生の下校時に、信号機のない横断歩道で車にひかれたことがあるのです。
当時、私は横断歩道で手を挙げて、車が止まるのを確認してから渡ったのですが、止まってくれた車のすぐ後ろの車が、追い越しをして横断歩道に侵入。もう少しで横断歩道を渡り切ろうとしていた私をはねたのです。まだ小さかった私はかなり高く跳ね飛ばされたようですが、奇跡的にもランドセルを背負っていた背中側から着地。頭や体を強打することなく、足に擦り傷を負っただけで事無きを得ました。

ただ驚くのは、ここから。直後に、運転していた男性が車から降りてきて、放心状態の私に声をかけてきたのです。
「おねえちゃん、大丈夫?」
「うん」

返事を聞くと、その男性は車で走り去ったのでした。
当時の私にはまだ理解できなかったのですが、私はひき逃げされたのです。
その後、運転していた人がどうなったのかは聞かされていません。

今朝も旗を振りながら、ふと子供の頃の事故を思い出してしまいました。「あと少し、早く走っていたら、車に真正面からひかれていたかも…」「頭から着地していたら、あるいは…」と、当時を思い出すたびに身震いするような思いに襲われます。
交通弱者の子供たちを守るには、私たち大人の行動が本当に大切と、心から思った朝でした。

アナ・ログ、続いては千坂アナウンサーです。


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