「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

東日本大震災13年
佐藤 拓雄
(2024/03/11)


きょうで、東日本大震災の発生から13年となりました。
多くの方の命日にあたります。心からご冥福をお祈りします。

13年経ったということは、今の小学生以下は、全員が震災後の生まれということになります。
先日、地元新聞に、独自の調査結果が掲載されました。
宮城県内の小学6年生(つまり震災後生まれ)の17.7%(6人に1人)が、東日本大震災の発生年月日を正確に回答できなかったといいます。
震災伝承の課題と現状を表す結果に、驚かされました。
分かっていることとは言え、震災を文字通り「知らない」世代がここまで増えていることに、13年という時間を感じさせられます。
一方で、そのことだけで評価できるものでもないのもまた事実。
これからますます増えていく震災を知らない世代に、何を、どう、伝えていくのか、震災を経験した一人として、伝えることの模索を続けていかなければと改めて思います。

去年の秋、愛知県の大学生たちに、震災のことを話す機会がありました。
ゼミの研究の一環で、被災地や被災地のメディアを取材しているとのことで、震災を伝える一人としての私自身の体験や感じていることが話の中心です。
実はご縁があり、この大学の学生たちに話をするのは初めてではないのですが、毎回とても熱心で感心しています。
今回の学生たちは、大学2年生で、2011年は小学校低学年、しかも皆、震災の被災地出身ではありませんので、ほとんど記憶はないということでしたが、発生当時の状況や葛藤から現在に至るまで、多岐に渡って、熱心に質問し、話を聞いてくれました。
十数年が経った今、他の地域に、強い関心を持っている若い人たちがいるのが、大変頼もしく、私の話もついつい長くなってしまいました。
自分たち以外の人々を取材してテレビで伝えていくだけでなく、私たち自身の経験を、様々な形で伝えていくことも、私たちにできること・すべきことであり、震災伝承の一つだという思いを、年を重ねるごとに強くしています。

【写真】震災伝承施設の一つ、旧気仙沼向洋高校の伝承館です。震災遺構や震災を伝える施設の存在も、今後さらに重要になっていくと思います。

明日は、西ノ入菜月アナウンサーです。

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