「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

言葉にまつわる話
寺田 早輪子
(2024/05/21)


最近、うれしかった言葉、第一位は…、

「VTRに命を吹き込んでくれて、ありがとうございます!」

これは、ある番組のナレーション収録を終えてブースを出た時に、担当ディレクターからかけられた言葉です。正直、涙が出るほど嬉しい言葉でした。

アナウンサーになって以来、様々な研修を受けてきましたが、若手の頃はいつも「読んでいる」と講師に指摘されていました。「伝える」と「読む」の違いがよく分からず、戸惑っていましたが、当時の私は、気持ちを込めている「つもり」になっていたのだと思います。

その「つもり」を取っ払うことができたのは、災害取材を経験してからのこと。
やり場のない怒りや悲しみを抱えながら、それでも歯を食いしばって歩んでいこうとする人々の話を聞くうち、自分の中の何かが大きく変わっていったのです。

「命」についての話を取材するうちに、「命は何にも代えられない、大切なもの」、というメッセージをまっすぐに伝えたいという思いが湧いてきました。「小手先の表現などは決してしてはならない」、そう強く思うようになったのです。

今は、言葉を発する時に心が震える感覚がある…とでも言いましょうか、心の奥底から深い声が出てくるような実感があります。

ナレーションは本当に奥が深く、難しい。でも大好きです。今もまだまだ修行中(?)の身で、勉強・研究の毎日です。正解はないのだけれど、聴く人(見る人)を想像しながら、その時々の最適解を常に追い求めています。
これからも妥協することなく、文章に「命」を吹き込む、そんな仕事をしていきたいです。

☆写真は…、「千坂紗雪アナウンサー検定」を収録しました。YouTube仙台放送アナウンサー公式チャンネルで、近日公開!

アナ・ログ、続いては高橋咲良アナウンサーです。


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