「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

言葉にまつわる話
佐藤 拓雄
(2024/05/17)


かれこれ30年くらい感じていることですが、おかしな敬語が気持ち悪い。

その代表格が、「ビール飲まれますか?」

先輩や目上の人にお酒をすすめる時に、かなり多用されていると思うのですが、気持ち悪くないですか?

ビール飲みますよ、だけど、飲まれませんよ、とおじさんの屁理屈を言いたくなってしまいます。
「酒は飲んでも飲まれるな」と言うではありませんか。
・・・やはり屁理屈ですかね。

いや、でも。「飲む」の敬語が「飲まれる」なのは、やっぱり気持ち悪い。
「飲む、食べる」の敬語は、「召し上がる」でしょう。あるいは、「お飲みになる」。

確かに「れる・られる」には、「尊敬」の意味もありますが、「受け身」「可能」「自発」もあるわけで、だからこそ、「飲まれる」なんて言われると、私は「酒は飲んでも飲まれるな」に感じてしまうのです。
「食べる」→「食べられますか」で考えてみたらなおのこと、「可能」か「受け身」に感じませんか?
文脈で分かるだろう、と言えばそうかもしれませんが、紛らわしいからこそ、別の言葉「召し上がる」があるのだろうとも思います。

「ビール飲まれますか」には、そういう言葉を使わず、マニュアル的にパターン化して「れる・られる」をつければ敬語になる、というような安直な考えが透けて見える気がして、嫌だなあ、と思うのですが・・・
挙句、こういうことを正面から言うと、「〇〇ハラ」と言われてしまうのでしょうか。


【写真】内容とは全く関係ありませんが、仙台放送局舎前の新緑です。実に清々しい。


次回は、西ノ入アナウンサーです。

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