「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

今年の秋は…
佐藤 拓雄
(2024/10/24)


文豪・夏目漱石の直筆の手紙で、今まで存在が知られていなかったものを、東北大学の名誉教授が見つけた、というニュースを先日放送しました。
発見自体が非常に貴重な出来事で、それだけでもニュースとしての価値があると思いますが、その内容を詳しく調べはじめたところ、漱石の「思考回路」のようなものに触れることが分かってきて、大学時代、国文学を専攻した者としての血が騒いでしまい、特集ニュースとしてはそこそこのボリュームになりました。
https://nc.ox-tv.co.jp/news/detail/2024100300011
(↑ここにしばらくは動画が残っているはずです。)

実は、「血が騒いだ」理由はそれだけではありません。
放送の中では言いませんでしたが、発見者の仁平道明東北大学名誉教授は、私の大学時代の直接の恩師です。
その仁平名誉教授がおっしゃるには、ご自身の恩師が、漱石の弟子・小宮豊隆の弟子、つまり仁平名誉教授は、漱石の「三代目の弟子」である。だから、その弟子である私(佐藤拓雄)は、漱石の「四代目の弟子」にあたる、というのです。
「三代目」まではともかく、「四代目」ともなると少々無理があるような気もしないでもないですが、漱石の正真正銘の弟子である小宮豊隆という人は東北大学の教授でしたし、少なくとも、自分が漱石にそれなりの縁があると知ったことは、うれしいことでした。
なんだか、歴史上の人物と遠い親戚であることが判った、というような感覚に似ているかもしれませんね。

その「大師匠」夏目漱石ゆかりの地を、先日東京で巡ってきました。
【写真】は、東京早稲田の漱石山房記念館に再現された、漱石の書斎。漱石が亡くなるまで住んでいた家は、太平洋戦争の空襲で焼失してしまいましたが、その地に記念館が建っていて、自宅が一部再現されています。
その近くにある生誕の地(碑があるだけですが)にも足を運び、さらにはお墓参りもして、ひと通りの「ご挨拶」は済ませたので、これで「四代目」と認定されても引け目は感じないはず??(笑)

さて、放送は無事出しましたが、さらにもう少し調べたいことが出てきて、実は今も"研究"を続けています。ここからは、取材や仕事ではなく、もはや趣味の世界ですが(笑)、やればやるほど、もっと調べたいと思うことが出てきてしまい、きりがありません。これが「沼」というヤツかもしれません。
今年の秋は、夏目漱石研究の「沼」の中にいます。

明日は、西ノ入アナウンサーです。

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