「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ
人生最大の「激走」
堤 勇高
(2024/10/29)
昔から球技は好きでしたが陸上競技は苦手でした。
短距離はサッカーのチーム内で下から5番目以内の遅さ、長距離も上位に入れる持久力や精神力を持ち合わせていませんでした。
そんな私の「激走」は小学生の時です。確か3年生か4年生だったと思います。
終了式の日、つまりその学年最後の投稿の日です。
学級委員長を務めていて「最後に1年間お世話になった先生に1人一枚手紙を書いて送ろう」と、クラス全員に呼びかけ、集めていました。
もう一人の学級委員長と協力して全員分を修了式の数日前に集め終わり、表紙など付ける作業も終え当日を迎えました。
当日までの保管はもう一人の学級委員長に任せていたと思っていた私。
終了式の日に「手紙ある?」と聞くと「堤君が持ってるよね?」とまさかの返答が。
自分が保管している記憶はない。でも相手は「絶対に私じゃない」との主張。
修了式なので今日渡すしかないという状況の中、私は半信半疑で家まで取りに帰ることを決めました。
そこからは「激走」です。
歩いて15分20分の距離ですが、信号待ち以外すべてをノンストップかつ最大限の速さで走りました。
人間追い込まれるとここまで頑張って走れるのかと、小学生ながら考えた記憶があります。
家に着くと突然の息子の帰宅に驚き顔の母。
ヘロヘロで状況を説明し、一緒に家をくまなく探してもらいますが、結局手紙は見つからず。
疲労と絶望の中、母に学校まで車で送ってもらいました。
……手紙は結局もう一人の学級委員長が持っていました。
「よく探したらあった」とのことです(笑)
自分の底力を見た、小学生時代の思い出です。
写真は先日取材で訪れた多賀城南門です。
まだ工事中で近くまで寄ることができませんでしたが、中学時代修学旅行で電車の窓から見た平安京を彷彿とさせる佇まいでした。
あとは天気が良ければ……
次は高橋アナウンサーです。