「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

春といえば!
佐藤 拓雄
(2025/04/17)


春といえば、引っ越しシーズン。

先日、長男の引越しを手伝いました。
その流れの中で、諸事情があり、重たいスーツケースを2つ持ち、一人で東京から関西方面へ移動しなくてはならなくなりました。
ひと言でいえばそれだけですが、これが、非常に大変でした。

まず、最寄り駅まで向かう時に雨。傘を差さなければずぶ濡れになるほどの雨量、かつ、歩く以外に方法がない場所で、ゆるやかな上り坂。傘、スーツケース×2、背中にリュック。5分弱の距離がもうキツいキツい。新幹線の出発時刻も決まっているので、雨がやむのを待つわけにもいかず、進むしか選択肢がないのです。
腕も折れよとばかりに、傘を差さない側の手でスーツケースを2つまとめて引きずり、最寄りの地下鉄駅に、文字通りたどり着きました。

地下鉄はエレベーターがすぐに見つかったので、まだよかったのですが、困ったのは東京駅でした。
とにかく広いのに、エレベーターがなかなか見つかりません。普段は東京駅でエレベーターを使うことはほとんどないので、見当が付きにくいというのもありますが、「階段ばかり時々エスカレーター」という印象。エスカレーターはスーツケース2個持ちでは危なくてとても乗れません。

一人でエレベーターを探しながら、ああ、例えば車いすの人はこういう大変さの中で生活しているのか、「バリアフリー」という言葉は言われて久しいけれど、基本的に、世の中は、多数派であるところの不自由なく移動できる人のためにデザインされているのだな、と痛切に感じました。
子どもが小さい頃、ベビーカーで移動していて、こういう不自由さを感じたこともありましたが、今回ほどの大変な思いをした記憶はありません。
スーツケースを2つ持ったおじさんが、見知らぬ人に「これを持ってもらえますか?」などと助けを求めるのもおかしな話で、自分がそんなことを頼まれたら、何か犯罪に関わるのではないかと訝しく思うはずです。

結局、ある改札で、【写真】の掲示を発見し、その通りに行ったところ、エレベーターがあり、上がったら目の前に新幹線がいました。いやー、助かった・・・と心底ほっとしましたが、今度は降りた先の駅か・・・と憂うつな移動はもうしばらく続いたのでした。

明日は、この4月入社、新人の門間陸斗アナウンサーです。

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