「アナ・ログ」
アナウンサーリレーエッセイ

懐かしの味
佐藤 拓雄
(2025/06/06)


子どものころ、毎年端午の節句に合わせて、父方の祖母から「ちまき」が送られてきました。

一口にちまきと言っても、いろいろなタイプがあるようですが、祖母のちまきは、三角で、もち米は白いまま、黄な粉をつけて食べる、というものです。
祖母手作りのもので、笹の香りともち米の食感、つける黄な粉の香ばしさがたまらなく美味しい。誇張ではなく、本当にいくつでも食べられます。

その後、母が作り方を教わり、祖母が亡くなった後も受け継がれていました。
その母も亡くなってしまいましたが、今度は父が一念発起して、わざわざ作り方を白石のほうまで教わりに行き、毎年作ってくれるようになりました。
【写真】は、父が作ったそのちまきです。
祖母、母と受け継がれたものと違わない、私の記憶にしみ込んだ、ちまきです。

ですので、厳密には「ずっと慣れ親しんだ味」であって、「懐かしの味」というのとはちょっと違うかもしれませんが、それでも、どこか郷愁を覚えるのが、このちまきです。

問題は、私たちの代が、作り方を受け継いでいないこと。
毎年のように、父から作り方を聞いておかないと、と思うのですが、実行に移していません。
懐かしむだけになってしまわないようにしないといけないと焦っています。


次は堤アナウンサーです。

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